「日本ダービー・G1」(30日、東京)
夢をかなえた。7番人気のエイシンフラッシュがメンバー最速の上がり3F32秒7で抜け出し、07年生まれの7611頭の頂点に輝いた。内田博はJRA移籍3年目で、念願のダービージョッキーの称号を手にした。首差の2着に5番人気の2歳王者ローズキングダム、1番人気のヴィクトワールピサは3着、無敗での戴冠を狙った2番人気のペルーサは出遅れて6着。3連単は15万馬券の波乱となった。
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あこがれの“ダービージョッキー”の称号だ。エイシンフラッシュを3歳馬の頂点へ導き、内田博は右拳を突き上げた。「本当に勝ったのか?って。勝ったんですけど、実感がないです」。6回目の挑戦で、かなえた夢。ついに先頭で最高峰のゴールを駆け抜けた。
勝利のチャンスを感じながらも、欲はあえて押し殺した。「勝ちに行くといいレースができないので、リズムを崩さないように」。道中は右斜め前に2歳王者、すぐ前に皐月賞馬。インの絶好位で息を潜めた。「能力のある馬が前にいたので壁になることはないと。すごくいい形になった」。直線では馬場の真ん中から馬の間を割って一気にスパート。「勝つべき道が開いていた」。力強くVロードを突き抜けた。
「JRAリーディングと日本ダービーを獲るために移籍をした」。地方の大井から中央へ移籍して2年目の昨年、武豊を抑えて初のリーディングを獲得。3年目にして、ふたつの大きな夢をかなえた。「勝ってみないと分からない。やみつきになる。2度、3度と勝ちたい」と笑顔を見せる。
ただ、これが今年の重賞初制覇だった。1月11日の中山での落馬事故で左腕を骨折。有力馬がその手から離れ、重賞を勝っていく姿をただ見つめるしかなかった。「何とも言えない気持ち。悔しい思いもした」。苦難を乗り越えて、つかんだ勝利の味をかみしめる。
「馬の状態はいいのでジョッキーには“勝負してこい”と」。6頭目の挑戦でダービートレーナーとなった藤原英師は、そう言って送り出した。レース前日の夕方には馬場を歩き、自ら芝の感触を確かめた。「予定していなかったけど、急きょ。雨が気になったから」。エイジアンウインズで08年のヴィクトリアマイルを勝ったときもそうだった。だからこそ「ジョッキーには明確な指示が出せた」。チーム一丸でつかんだ栄光だった。
2年前のダービーに出走したタスカータソルテが、前日の金鯱賞で故障し予後不良に。「天国へ行ったので、あと押ししてくれたのかな」。その瞬間は、指揮官もしんみりとした表情を見せた。
凱旋門賞・仏G1(10月3日・ロンシャン、芝2400メートル)にも登録を済ませている。明言は避けたが「菊花賞(10月24日・京都)へ行くか、そのあたりはオーナーと相談して。(凱旋門賞に)登録しているのは、それだけの馬だと思っているから」と海の向こうも視野に入れる。秋には、さらに輝きを増したダービー馬が見られそうだ。
5月31日9時22分配信 デイリースポーツ
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