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歴史的2冠だ!競馬の祭典「第78回日本ダービー」が29日、雨中の東京競馬場で行われ、1番人気の皐月賞馬オルフェーヴルが直線で力強く伸びて快勝。06年メイショウサムソン以来5年ぶり史上22頭目の2冠馬となった。池添謙一騎手(31)はダービー初制覇。管理する池江泰寿師(42)は父・池江泰郎元調教師(70)との父子制覇を成し遂げた。 父と子の絆。これが池江ブランドの集大成。父が道筋をつくり、息子が鍛え上げたオルフェーヴル。雨に煙る府中のターフで、ひときわ明るい輝きを放ち、ダービー馬の称号を手に入れた。 右へ左へと馬体を揺さぶりながら、直線の坂下で馬群をこじ開けた愛馬が内へ切れ込みながら先頭に立つ。スタンドから池江泰寿師の声が飛ぶ。 「(池添)ケンイチ!ケンイチーッ!!」 指揮官のゲキは届いた。外から迫ったウインバリアシオンを突き放し、栄光のゴールを独走状態で駆け抜けた。「直線はずっと叫んでいたと思う。ゴールの瞬間はよく覚えていないけど、横にいたオヤジに“やったー”と言った気がする」。背中を追い続けた父・泰郎氏と並んで見届けた夢舞台。興奮冷めやらぬ息子に、父は優しく声を掛け、手を握りしめた。 「よかったな。おめでとう」 オルフェーヴルの父ステイゴールド、母の父メジロマックイーンはともに泰郎氏が管理。厩舎で助手をしていた泰寿師も調教に携わり、父子鷹で一流馬に育て上げたが、晩成で春のクラシック舞台に立つことはなかった。その結晶がドリームジャーニー、オルフェーヴルの兄弟。兄は07年ダービーに挑んだが5着敗退。一族には縁のなかった春2冠。祖父、父の心残り、兄の無念を弟がまとめて晴らした。 2冠への道乗りは険しかった。昨夏の新潟のデビュー戦は1馬身半差の楽勝も、直線で大外から内ラチ沿いまで横切る大斜行。内にモタれる悪癖を出した気性の激しさと戦いながらの調整だった。「牧場で矯正した部分も大きいし、スタッフも我慢強く調教してくれた。謙一も信念を貫いて乗ってきてくれたから…」と泰寿師。心の底から出た感謝の言葉だった。 「秋は菊花賞か、距離を考えれば天皇賞か。オーナー側と相談したい」と話した指揮官だが「自分としては3冠の重みを感じている」ときっぱり。 父子調教師のダービー制覇は2組目だが、父子そろっての3冠制覇となれば史上初。「幼少の頃、夕食をともにする父の口癖はいつも“ダービーを勝ちたい”だった」。父が開業26年目、64歳でたどり着いた栄冠に、42歳、史上最年少で到達した息子。3冠馬ディープインパクトを育てた偉大な父に、肩を並べる日も遠くない。 ◆オルフェーヴル 父ステイゴールド 母オリエンタルアート(母の父メジロマックイーン) 牡3歳 栗東・池江厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 戦績8戦4勝 総獲得賞金4億1120万9000円。 スポニチアネックス 5月30日(月)7時0分配信
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